中性脂肪とldlコレステロール、どういう違いがあるの?

中性脂肪は安定した脂質ですが、LDLコレステロールは反応しやすい脂質です


LDLコレステロールldlとは、タンパク質の一種でlow-density lipoprotein(低密度リポタンパク質、低比重リポタンパク質)のことをいいます。

タンパク質LDLと結びついているコレステロールを、LDLコレステロール(LDL-C)といいます。

中性脂肪とLDLコレステロールは、「脂質」という点では同じです。

同じ「脂質」のなかで、中性脂肪とldlコレステロールはどう違うのでしょうか?

化学用語の国際標準を(実質)決定している国際純粋応用化学連合(ICPAC)は、「脂質」とは定義があやふやな言葉なのだとしつつ、次のように説明しています。

「脂質とは、生物起源で、非極性溶媒に可溶な物質である。
 

  • グリセリド (脂肪および油)およびリン脂質のような“鹸化性”の脂質
  •  

  • 主にステロイドからなる“不鹸化性”の脂質
     からなるものである。」 ―― ICPAC Gold Book

    この「脂質」は、大きく、単純脂質、 誘導脂質、 複合脂質と分けることができます。

  • 単純脂質(アルコールと脂肪酸のエステル)
      中性脂肪、蝋、セラミド
  • 複合脂質 (分子中にリン酸や糖を含む脂質、グリセリンなどが骨格となる)
      リン脂質、スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質、
       糖脂質、スフィンゴ糖脂質 、グリセロ糖脂質、
      リポタンパク質、スルホ脂質
  • 誘導脂質 (単純脂質や複合脂質から加水分解により誘導される脂質など)
      脂肪酸、コレステロール(ステロイド)、脂溶性ビタミン(カロテノイド)など

3つ目の「誘導脂質」とは、単純脂質や複合脂質から形を少し変えた脂質で、次の反応がおこなわれやすくなったものです。

ここから、中性脂肪は、形も単純で安定的な「単純脂質」であり、LDLコレステロールは次の反応の準備がなされた「誘導脂質」であると分かります。

これら脂質はすべて、体内にあるとき、水のなかで安定して存在できるしくみをもっています。

例えば、複合脂質のリン脂質は、1つ1つの分子がクラゲのような形をしています。

これを水と油を混ぜたなかに複数入れると、油を囲んで球形になり、クラゲ様のリン脂質は「頭」が球の外側に、「足」が球の内側になって並びます。

これはミセルと呼ばれる会合体で、こうすれば油が血管などにべったりとくっつかないのです。

油を包み込めるミセル中の分子の数(会合数)は、いくら多くてもいいのかというとそうではなく、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分のバランスで決まるそうです。

この数は、数学の幾何学の問題と密接な関係があるようで、ミセル中の分子の数(会合数)が30以下になると、その値は、2、4、6、8、12、20、24から選ばれる数字のどれかに限定され、その数の多くは、「プラトンの正多面体」の面の数(4、6、8、12、20)と一致するそうです。(北九州市立大学、高輝度光科学研究センターおよび有明工業高等専門学校の研究グループが世界で初めて発見)

脂質の消化吸収は糖質と違うのです

血管に油脂がつかないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。

食品から摂取する脂質は、そのほとんどが、他の生物のなかにあったときも安定していた中性脂肪です。

安定した中性脂肪を、栄養が最大限に残るようにうまく壊して消化し、吸収するのです。

実は、脂質の消化は、糖質と違うしくみをもっています。

脂質の消化には、経路が2つあり、脂質の種類によって吸収されるまでの道程が違います。

 

  1. リパーゼと胆汁酸(と中性脂肪)によって、カイロミクロンとなり、リンパ管へ

     長鎖脂肪(長鎖脂肪酸トリグリセリド、LCT)は、小腸の吸収上皮細胞で吸収された後に、リンパ管に入っていく脂質です。

    [長鎖脂肪の一部は、モノグリセリドとなって門脈、肝臓へ]

  2.  

  3. リパーゼにより、モノグリセリドと脂肪酸になり、門脈を通って肝臓へ

     中鎖脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド、MCT)は、リパーゼによりモノグリセリドと脂肪酸になり、そのまま血液に乗って門脈を経て肝臓に運ばれる脂質です。

    門脈とは、静脈のひとつで、胃腸・膵臓・胆嚢・脾臓から静脈血を集めて肝臓に注ぐ静脈系(広義)です。

    肝臓の門(動脈、静脈、リンパ管、神経などがまとまって出入りする部位)を通るため、この名がついたようです。

    消化器系は、門脈によって連結されて、集合体を形成しているというわけです。

    肝臓・胆嚢・膵臓はとくに門脈と密接に関連しているといわれます。

中鎖脂肪酸は肝臓から血管へ、長鎖脂肪酸は主に胸の辺りで血管へ。


脂肪酸は、炭素数8~12個を骨格に形成されている中鎖脂肪酸と、炭素数14個以上である長鎖脂肪酸に分けられます。

中鎖脂肪酸を含む中性脂肪を「中鎖脂肪(MCT、中鎖脂肪酸トリグリセリド)」、長鎖脂肪酸を含む中性脂肪を「長鎖脂肪(LCT、長鎖脂肪酸トリグリセリド)」と呼びます。

短鎖脂肪酸はチーズ香、少し長い脂肪酸はミルク香、さらに長い脂肪酸はバター香を示すといわれ、フレーバー増強用の食品添加物として、アイスクリーム、菓子、乳製品、業務用チーズなどに広く使用されているそうです。

さて、小腸の絨毛(じゅうもう)の内部には、消化した栄養素を吸収するために「毛細血管」と、毛細リンパ管が変形した「中心乳糜管(ちゅうしんにゅうびかん)」が走っています。

MCTとLCTは、いずれも小腸内において、消化液(胃液、膵液)に含まれる消化酵素リパーゼの作用により、モノグリセリドと、それぞれの脂肪酸(中鎖脂肪酸か長鎖脂肪酸)に分解されます。

その後、中鎖脂肪酸は、そのまま、絨毛の毛細血管から門脈へ行き、肝臓へ運ばれ、効率よく吸収されます。

一方、長鎖脂肪酸は、胆汁酸の影響を受けてミセルと呼ばれる粒子を形成して吸収されます。

ミセルとなった脂肪(カイロミクロン)は、比較的大きいため絨毛の毛細血管に入ることができず、同じ絨毛内の「中心乳糜管」に入ります。

カイロミクロン(脂肪)は、腸からリンパ管を移動して、胃の高さにある大きな乳糜槽に合流し、そこからさらに上方の「胸管」に運ばれ、左鎖骨下静脈から、やっと、血流に入ります。

(右上半身のリンパ管は、右リンパ本幹に集まり、小腸などそれ以外からのリンパ管は「胸管」に集まり、それぞれ左右の鎖骨下静脈に合流しています。)

このように、リンパ管は、血管から漏れた水分を掬う(すくう)役割をもちながら、同時に、消化管では脂肪の運搬経路としての役割も果たしています。

この、重力に逆らった上方へのリンパの流れは、リンパ管の逆流防止弁どうしの間にある平滑筋(内臓筋、不随意筋)に神経が通っているためにおこなわれますが、骨格筋(横紋筋、随意筋;筋トレ可能)の筋ポンプや、呼吸に伴う胸腔内圧の変化による呼吸ポンプのほか、マッサージなどによっても、流れを促進することができます。

脂肪の代謝に関わるリンパも重要視しましょう

リンパ流とも呼ばれる、このリンパの流れですが、心臓に近づくまでの間に、数千というリンパ節でろ過されています。

リンパ節には、白血球の一種であるマクロファージが存在し、リンパに潜む細菌やウイルスなどの異物を破壊し、食べつくしてくれます。

リンパ節内には、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、T細胞、B細胞といったリンパ球も多数存在し、病原体や腫瘍細胞と闘い、生体を守っています。

リンパ管には比較的分子の大きい物質も入りやすいため、こうした生体防御の機構が備わっていると考えられます。

リンパ節は、捕捉した細菌の数が多すぎると激しい炎症を起こし、腫大します。

がん細胞もリンパ管を介して転移し、全身に広がることがあります。

血液サラサラとはよくいいますが、リンパについては見過ごされていることが多いように思われます。

生体を形づくる基礎である脂肪を適切に健康に保つため、食べ物によりつくられる体に負担をかけないよう、体に入れるものに気をつけ、また、体をよく動かしていきましょう。

糖質過多、タンパク質不足になりやすい現代ですから、気をつけて全体のバランスがよくなるよう食生活を工夫しましょう。

食事の内容だけではなく、量と時間にも気をつけてみましょう。

運動は、散歩などの有酸素運動を20分-週3回、または相応の運動を、何かをしながらでも続けてみましょう。

こうしたほうがいいのだろうな、でも今日はがんばらない、と自発的に思ってしまったなら、人の目、人の力に寄り頼んででも、こうしたほうがいいのだろうなのほうを少しずつ多く採用してあげましょう。

というのも、糖尿病でも、家族が協力してくれると早く改善することが分かっています。

「家族支援」と「自己管理」との関係については、家族や友人からの支援と食事療法、運動療法、足のケア、血糖自己測定、薬物療法との間の肯定的な関係性を示した報告(Chlebowy et al., 2010)など多数あります。

独りではくじけそうなときでも協力してくれる家族や仲間がいれば、乗り切れることがたくさんあるものです。

こうしたほうがいいのだろうなをサポートしてくれる「人」を見つけ、環境づくりまでは何とかがんばってみましょう。

これが後々のリバウンド防止にもつながります。

(まとめ)中性脂肪とldlコレステロール、どういう違いがあるの?

  • 1. 中性脂肪は安定した脂質ですが、LDLコレステロールは反応しやすい脂質です
  • 中性脂肪とLDLコレステロール、よく同じ文脈で耳にしますが、たしかに、「脂質」という点では同じです。

    様々な脂質があるなか、違いは、中性脂肪は安定した脂質であり蓄えられますが、LDLコレステロールは次の反応がしやすくなった形の脂質ですぐ活用されるものです。

    2. 脂質の消化吸収は糖質と違うのです

    脂質の消化には、経路が2つあります。

    1. リパーゼと胆汁酸(と中性脂肪)によって、カイロミクロンとなり、リンパ管へ
    2.  

    3. リパーゼにより、モノグリセリドと脂肪酸になり、門脈を通って肝臓へ

    脂質の種類によって、経路が変わります。

    3. 中鎖脂肪酸は肝臓から血管へ、長鎖脂肪酸は主に胸の辺りで血管へ。

    油脂は、小腸内において、消化酵素リパーゼの作用により、モノグリセリドと、それぞれの脂肪酸(中鎖脂肪酸か長鎖脂肪酸)に分解されます。

    中鎖脂肪酸は、そのまま、絨毛の毛細血管から門脈へ行き、肝臓へ運ばれ、効率よく吸収されます。

    長鎖脂肪酸は、胆汁酸の影響を受けてミセルと呼ばれる粒子を形成して、毛細血管に入ることができずにリンパ管の端の「中心乳糜管」に入ります。

    リンパ管は、血管から漏れた水分を掬う(すくう)役割をもちながら、同時に、消化管では脂肪の運搬経路としての役割も果たしています。

    4. 脂肪の代謝に関わるリンパも重要視しましょう

    血液サラサラと血管についてはよくいわれますが、リンパ管については見過ごされていることが多いようです。

    生体を形づくる基礎である脂肪を多く運ぶリンパ流。

    食べ物によりつくられる体に負担をかけないよう、体に入れるものはバランスがよくなるよう気をつけ、また、運動により体をよく動かしていきましょう。

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