中性脂肪、epa、dhaは狭心症や心筋梗塞に関係ある?

はい。それらは虚血性心疾患といわれる病気と関係があります


狭心症や心筋梗塞は、虚血性心疾患といわれる病気の群に含まれます。

虚血性心疾患には、狭心症、心筋梗塞、虚血性心不全、虚血性心疾患の致死性不整脈といったものがあります。

虚血性心疾患とは、心臓の筋肉(心筋)に酸素や栄養を含む血液を送り込む冠動脈が、動脈硬化などの原因で狭くなったり閉塞したりして、心筋に血液が行かなくなること(心筋虚血)で起こる疾患です。

こういった状態になりやすい要因はすでに明らかにされており、虚血性心疾患の危険因子、というワードで専門的な内容を知ることができます。

『循環器病の診断と治療に関するガイドライン』(2011年度 合同研究班報告)[2015/2/5更新版]が詳細に公開されていますが、ここでは要約してお伝えします。

虚血性心疾患の危険因子
日本人における虚血性心疾患の一次予防(病気になる前の健康者が、病気の発生を防ぐ)に関係する要因とそのレベル
(01)年齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
(02)冠動脈疾患の家族歴(祖父母、両親、兄弟・姉妹の突然死や若年発の虚血性心疾患)
(03)喫煙(重要な危険因子)
(04)脂質異常症[高LDLコレステロール血症(140 mg/dL以上)、高トリグリセライド血症(150 mg/dL以上)および低HDLコレステロール血症(40 mg/dL未満)]、いずれをも危険因子とする。
(05)高血圧(収縮期血圧140 mmHgあるいは拡張期血圧90 mmHg以上)
(06)耐糖能異常(糖尿病型、境界型)
(07)肥満は(BMI 25以上またはウエスト周囲径が男性85 cm、女性90 cm以上)
(08)メタボリックシンドローム
 [内臓肥満蓄積(ウエスト周囲径が男性85 cm、女性90 cm以上)を必須にして、
 

     

  • 高トリグリセリド血症150 mg/dL以上かつ、または低HDLコレステロール血症(40mg/dL未満)、
  •  

  •  収縮期血圧130 mmHgかつ/または拡張期血圧85 mmHg以上、
  •  

  •  空腹時高血糖110 mg/dL以上

   のうち2項目以上をもつもの]
(09)CKD(慢性腎臓病)
(10)精神的、肉体的ストレス
※いわゆる悪玉=運び屋=LDLコレステロール、いわゆる善玉=回収屋=HDLコレステロール
※low-density lipoprotein cholesterol、high-density lipoprotein cholesterol
(合同研究班参加学会: 日本循環器学会、日本栄養・食糧学会、日本高血圧学会、日本更年期医学会、日本小児循環器学会、日本心臓病学会、日本心臓リハビリテーション学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会、日本老年医学会)

このうち(04)(08)また(07)も、中性脂肪、EPA、DHAと関係がある部分です。

さらに、2015年の更新版になり、新たな国民病といわれるCKD(慢性腎臓病)が追加されていることにも注意しましょう。

膵臓から出されるインスリンは、腎臓のNa+再吸収を亢進し、さらに尿酸の再吸収を促進する作用をもつため、腎機能の疲弊との関連性も指摘されています。

CKD(慢性腎臓病)の治療の側では、逆に、脂質異常症の治療により、蛋白尿の減少と腎機能低下抑制が期待されています(CKD診療ガイド2012)。

心血管疾患の予防を含めてLDLコレステロールは120 mg/dL未満(可能であれば100 mg/dL未満)にコントロールすることが重要、といわれています。

中性脂肪、EPA、DHAは必要ですがバランスよく

中性脂肪、EPA、DHAは食物に含まれる油脂です。

食物から摂取する油脂の9割は中性脂肪で、消化酵素などの働きにより一旦、脂肪酸に分解されてから体内でいろいろな物質に形を変え、今すぐに必要でない分は再合成され、また中性脂肪として蓄えられます。

上記『循環器病の診断と治療に関するガイドライン』は、“脂質の主要な構成成分は脂肪酸であるので、各脂肪酸の摂取量に配慮することも必要”としています。

少しでも簡単にまとめますので、どうぞ参考にされてください(詳細は原典へ)。

  • ステアリン酸を除く飽和脂肪酸(S)には、コレステロールの増加作用がある
  • 代表的な一価不飽和脂肪酸(M)であるオレイン酸には、“運び屋”LDLコレステロール増加作用がなく、“回収屋”HDLコレステロール上昇作用が認められている
  • 多価不飽和脂肪酸(P)は、体内で生合成されず、重要な働きをしていることから必須脂肪酸として知られる
  • 多価不飽和脂肪酸には、
     n-6系脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸)と
     n-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)とがあり、
    この2系列の脂肪酸は異なった生理作用を示すことから、それぞれの摂取量に配慮することが必要
  • 多価不飽和脂肪酸は、フリーラジカル(対をなしていない電子をもつ、反応性が高い原子や分子)によって過酸化脂質(DNAを損傷させる作用をもつ物質を発生する危険なもの)に変質するため、過剰な摂取は好ましくない。
     抗酸化物質をあわせて摂取することが必要。
  • n-3系脂肪酸のEPAと、n-6系脂肪酸のアラキドン酸の比、
     EPA/AA比が、動脈硬化性疾患のリスクファクターとして注目されている
  • 一般にn-6系脂肪酸は、“運び屋”LDLコレステロールを低下させるが、
     摂取量が多いと“回収屋”HDLコレステロールを低下させてしまう
  • n-3系脂肪酸には、VLDL低下作用があり、
     PPARα(ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体-α、糖・脂質代謝に関与する種々の標的遺伝子を調節している転写因子)の関与など、主としてTG(中性脂肪)の合成抑制によることが知られる
  • 特にEPAは、血液凝固抑制作用に加えて抗炎症作用、さらには降圧作用も認められ、
     動脈硬化に抑制的に作用する
  • 各脂肪酸の作用や、日本人の栄養調査の結果などを検討した結果、
     脂肪酸の摂取割合(目安)は、
      S(飽和脂肪酸):M(一価不飽和脂肪酸):P(多価不飽和脂肪酸)= 3:4:3
      n-6:n-3の比(目安) = 4:1
     (n-3系脂肪酸の抗動脈硬化作用を考慮に入れれば、4:「1以上」でもよい)
  • これらの脂肪酸摂取量は一定のもではなく、体質などによって増減すべき

ほかの油脂も健康に関わります


人間や哺乳類でコレステロールにあたるものが、植物にもあり、それは植物ステロール(植物性ステロール、フィトステロール)と呼ばれています。

コレステロールと同様、植物細胞の細胞膜の構成要素ですが、コレステロールとはちがい、吸収されにくい性質があり、すでに、市販されている食品に利用されています。

植物ステロールは、豆類や穀類の胚芽に多く含まれていると聞きます。

『循環器病の診断と治療に関するガイドライン』から、以下、続けます。

  • 植物ステロールは、小腸のコレステロール吸収部位NPC1L1から一度「吸収され」、コレステロールの小腸での吸収を抑制し、ABCG5、ABCG8を介して小腸「管内」(吸収される前の場所)に再び出現することによって、コレステロール値を下げる効果が認められている

    そして、トランス脂肪酸です。

  • トランス型脂肪酸は、人体に不都合
      “運び屋”LDLコレステロールの上昇、
      “回収屋”HDLコレステロールの低下 をもたらす

    トランス脂肪酸は、過剰な摂取は控え、総エネルギーの2%を越えないように注意しましょう。

    トランス脂肪酸は、計算するなら「飽和脂肪酸」の摂取枠内に入れて計算します。

すでに病気に近いなら、摂取は必ず控えめにして病院へ

健診の結果、病院にはまだかからないまでも、かなり不安がある方も多いのではないでしょうか。

健康であればコレステロールは気にせず十分に摂ってよいのですが、健診結果が正常値の範囲ぎりぎりである場合は、しっかりした健康に戻るまで、一旦、コレステロールを控えましょう。

そして、過剰な糖質を制限し、一駅歩く、階段を使う、電車では立つ、など健康のための工夫をしてみましょう。

体が資本です。

以下同様に、『循環器病の診断と治療に関するガイドライン』から続けます。

  • 一般に、食事から摂取されるコレステロール量よりも、体内で生合成されるコレステロール量のほうが多い
    (肝臓における調節機構により、食物から吸収されたコレステロールがある程度増加しても、血清コレステロール値は、ほぼ一定に維持される)
  • しかし、脂質異常症の素因を有している場合には、
     コレステロール摂取量の増加に伴って、血清コレステロール値の上昇が認められる
  • したがって、脂質異常症素因を有している場合には
     1日のコレステロール摂取量は300 mg程度に抑えるようにする

(まとめ)中性脂肪、epa、dhaは狭心症や心筋梗塞に関係ある?

1. はい。それらは虚血性心疾患といわれる病気と関係があります

中性脂肪、EPA、DHAは、虚血性心疾患の危険因子である脂質異常症、メタボリックシンドローム、そして肥満にも大きく関係があり、狭心症や心筋梗塞と深くつながっています。

虚血性心疾患の危険因子には、CKD(慢性腎臓病)も付け加えられましたが、CKDの治療の側では脂質異常症の治療が重要といわれます。

2. 中性脂肪、EPA、DHAは必要ですがバランスよく

食物から摂取する油脂の9割は中性脂肪で、消化酵素などの働きにより、一旦、脂肪酸に分解されてから体内でいろいろな物質に形を変えます。

『循環器病の診断と治療に関するガイドライン』では、“脂質の主要な構成成分は脂肪酸であるので、各脂肪酸の摂取量に配慮することも必要”とされています。

n-3系脂肪酸(EPA、DHA)には、VLDL低下作用があります。

EPAには、血液凝固抑制作用、抗炎症作用、降圧作用も認められ、動脈硬化を妨げます。

3. ほかの油脂も健康に関わります

人間のコレステロールにあたるものが、植物にもあり、植物(性)ステロールと呼ばれます。

コレステロールと同様、植物細胞の細胞膜の構成要素ですが、コレステロールとはちがい、吸収されにくい性質があり、すでに市販されている食品に利用されています。

トランス脂肪酸は、LDLコレステロールの上昇と HDLコレステロールの低下をもたらすため、やはり、人体に不都合です。

4. すでに病気に近いなら、摂取は必ず控えめにして病院へ

健康であればコレステロールは十分に摂ってよいですが、健診結果が正常値の範囲ぎりぎりである場合は、しっかりした健康に戻るまで、一旦、コレステロールを控えましょう。

過剰な糖質を制限し、一駅歩く、階段を使う、電車では立つ、など健康のための工夫をしましょう。

脂質異常症の素因がある場合なら、1日のコレステロール摂取量は300 mg程度に抑えましょう。

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