脂肪酸と中性脂肪はどういう関係なの?

グリセリンに様々な脂肪酸が結合して中性脂肪ができます


脂肪(Triglyceride、トリグリセリド、中性脂肪)は、グリセロール(glycerol、グリセリン)1分子に、脂肪酸3分子が結合した構造をしています。

グリセリンといえば、歯磨き、石鹸、ローションなど身近なものの保湿剤として利用されるほか、食品から工業製品まで多岐にわたり用いられる物質です。

さて、食事から摂取した脂肪は、十二指腸や小腸内で膵液中の「リパーゼ」により加水分解され、脂肪酸とグリセロールに分離します。

グリセロールは、水溶性なのでそのまま小腸から毛細血管に吸収され、解糖系で代謝され、エネルギー通貨ATPをつくることに利用されたり、糖新生によって炭水化物であるブドウ糖に変換されたりします。

脂肪酸は、脂溶性ですが、胆汁とミセルを形成して水溶性になり、受動拡散によって消化管粘膜から吸収されます。

脂肪酸の炭素数が13以上の長鎖脂肪酸の場合、腸管粘膜の上皮細胞の内側で再びグリセロールと結合して中性脂肪(トリグリセリド)になり、タンパク質などとともにリポタンパク質のカイロミクロンになります。

カイロミクロンは、リンパ管から静脈に入って全身に運ばれます。

そしておもに脂肪組織や筋肉組織に取り込まれ、体脂肪として一旦貯蔵されてからグリコーゲンが枯渇したときに分解されて、ゆっくりと消費されます。

つまり、長鎖脂肪酸は体脂肪になりやすい脂肪酸です。

これに対して、炭素数が13より少ない中鎖脂肪酸は、カイロミクロンをつくらず、遊離脂肪酸のまま、消化管からの血液を集めて肝臓に送る静脈=門脈に入って、肝臓へ運ばれます。

肝臓は、食事由来のブドウ糖の取り込みも行えば、肝臓で糖新生したり肝臓に貯蔵しておいたグリコーゲンを分解したりしてブドウ糖の放出も行う、特殊な臓器です。

エネルギーを大量に消費する肝臓で、遊離脂肪酸は、エネルギー源となって効率よく代謝されます。

遊離脂肪酸は血液中を運ばれて体内の各組織でエネルギーとして利用されたり、構築材料として利用されたりしますが、余剰分はこの肝臓に取り込まれ、中性脂肪に再合成されるので効率がよいといえます。

中性脂肪をつくる脂肪酸にはいろいろな種類があります

脂肪酸とグリセリンで中性脂肪ができますが、脂肪酸にいろいろな種類があります。

太りやすい、といわれている飽和脂肪酸には、カプリル酸(8)、カプリン酸(10)、ラウリン酸(12)、ミリスチン酸(14)、パルミチン酸(16)、ステアリン酸(18)などがあります(カッコ内の数値は炭素数)。

これらはバターなどのように常温では固体で、高温下で溶けるという性質があり、体の中でも固体になりやすく、中性脂肪などを増やすということです。

ダイエットによい、といわれている不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸(二重結合が1つ)としてオレイン酸などがあり、多価不飽和脂肪酸(二重結合が2つ以上)にはアルファリノレン酸・DHA・リノール酸などがあります。

市販のオイルは、これらのうちいくつかを複合的に含んでおり、例えば、オリーブオイルには約80%のオレイン酸が含まれています。

多価不飽和脂肪酸は、青魚や豆製品に多く含まれていますが、n-3系脂肪酸(オメガ3)とn-6系脂肪酸(オメガ6)の2系統は私たちが自分の体内で合成することができない必須脂肪酸で、食品からの摂取が必要です。

このうち、n-6系脂肪酸(オメガ6)を含む食品は、現代人であれば十分摂れており、摂取過多の害が心配されているため、n-3系脂肪酸(オメガ3)を目掛けるようにしましょう。

n-3系脂肪酸(オメガ3)を含むオイルには、亜麻仁油(アマニ油、フラックスオイル)、シソ油、えごま油などがあり、豆類、くるみ、緑黄色野菜にも含まれています。

遊離脂肪酸は、脳以外でエネルギーになるのです


遊離脂肪酸は、細胞毒性(脂肪毒性:adipotoxicity)があります。

遊離脂肪酸は、大量に存在すると、両親媒性なので界面活性作用により細胞膜を溶解させ、細胞を破壊してしまいます。

必須脂肪酸の多価不飽和脂肪酸は、毒性が非常に高いといわれています。

そのため、体内に存在する余剰の遊離脂肪酸は、肝臓に取り込まれてグルコースの代謝で生成されるグリセロール3-リン酸と結合し、毒性の低い中性脂肪(トリグリセリド)に戻され、リポタンパクとして脂肪組織に送り戻されます。

心臓の筋肉を動かす心筋など、脳以外の多くの組織は、定常状態で、遊離脂肪酸をおもなエネルギー源としています。

ただ、心臓の状態がよくないときに、血液中の遊離脂肪酸が増えすぎると、心不全を引き起こすことがあることがわかっています。

有酸素運動でも、激しい運動を長時間続けると、血液中の遊離脂肪酸が増加しますし、アルコールの摂取は脂肪細胞に遊離脂肪酸の放出を促す作用がありますので気をつけましょう。

脂肪酸代謝から生まれる重要なアセチルCoA(コエンザイムエー)

脂肪酸からエネルギーを取り出すための重要な代謝経路は、3つのステージ(β酸化、クエン酸回路、電子伝達系)からなります。

最初の段階、β酸化は、飽和脂肪酸では4つ、不飽和脂肪酸では6つの反応の繰り返しからなり、反応が一順するごとにアセチルCoAが1分子生成され、最終生産物もアセチルCoAです。

脂肪酸アシルCoAのβ位において段階的な酸化が行われることから、β酸化と名付けられたそうです。

CoA(コエンザイムエー)は、生物にとって極めて重要な補酵素です。

脂肪酸の代謝により、大量のアセチルCoAとエネルギー通貨ATPが生み出されます。

アセチルCoAは様々な代謝系に用いられる汎用性に富んだ物質で、アセチルCoAの担う反応には、クエン酸回路への組み込み、アルコール/酪酸/酢酸発酵、脂肪酸再合成、テルペノイド/カロテノイド/ステロイドの合成などがあります。

(まとめ)脂肪酸と中性脂肪はどういう関係なの?

1. グリセリンに様々な脂肪酸が結合して中性脂肪ができます

脂肪は、グリセリン1分子に、脂肪酸3分子が結合した構造をしています。

脂肪酸の炭素数が13以上の長鎖脂肪酸の場合、吸収されて中性脂肪になってからカイロミクロンになり、リンパ管から静脈に入って全身に運ばれ、おもに脂肪組織や筋肉組織に取り込まれ、体脂肪として貯蔵されます。

炭素数が13より少ない中鎖脂肪酸は、遊離脂肪酸のまま、門脈、肝臓へ運ばれ、エネルギー源となって効率よく代謝されます。

2. 中性脂肪をつくる脂肪酸にはいろいろな種類があります

脂肪酸とグリセリンで中性脂肪ができますが、脂肪酸にいろいろな種類があります。

太りやすい、といわれている飽和脂肪酸には、中鎖脂肪酸に、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、長鎖脂肪酸に、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などがあります。

ダイエットによいといわれている不飽和脂肪酸には、一価不飽和脂肪酸にオレイン酸などがあり、多価不飽和脂肪酸にはアルファリノレン酸・DHA・リノール酸などがあります。

市販のオイルはいくつかを複合的に含んでおり、例えば、オリーブオイルには約80%のオレイン酸が含まれています。

3. 遊離脂肪酸は、脳以外でエネルギーになるのです

遊離脂肪酸は、細胞毒性(脂肪毒性:adipotoxicity)があります。

心臓の筋肉を動かす心筋など、脳以外の多くの組織は、定常状態で、遊離脂肪酸をおもなエネルギー源としています。

体内に存在する余剰の遊離脂肪酸は、肝臓に取り込まれて毒性の低い中性脂肪に戻され、リポタンパクとして脂肪組織に送り戻されます。

4. 脂肪酸代謝から生まれる重要なアセチルCoA(コエンザイムエー)

脂肪酸からエネルギーを取り出すための重要な代謝経路は、3つのステージ(β酸化、クエン酸回路、電子伝達系)からなります。

脂肪酸の代謝により、大量のアセチルCoAとエネルギー通貨ATPが生み出されます。

アセチルCoAは様々な代謝系に用いられる汎用性に富んだ物質で、クエン酸回路への組み込み、アルコール/酪酸/酢酸発酵、脂肪酸再合成、テルペノイド/カロテノイド/ステロイドの合成などに用いられます。

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